社長が変わると、組織が変わる。——でも、どう変われば良いのか、わかりますか?

    独りで考え続けても、変われなかった理由

    この記事を読んでほしい人

    • 「自分が変わらなければ」とはわかっているが、何をどう変えればいいのか迷っている経営者
    • 頑張っているのに、組織との間に見えない壁を感じている経営者
    • 誰にも相談できず、一人で抱え込んでいる経営者

    「社長が変わると、組織が変わる」

    この言葉を聞いたことのある経営者は多いと思います。セミナーでも、本でも、よく言われる言葉です。

    でも、聞いた瞬間に思いませんか。

    「じゃあ、どう変われば良いんだ?」

    私もずっと、そう思っていました。「変わらなければ」という焦りだけが積み上がっていく。でも何をどう変えれば良いのか、その答えが見えない。そのまま時間だけが過ぎていく——。

    経営者の孤独とは、こういうものだと、私は骨身に染みて知っています。


    「わかっている」と「できている」の間にある深い溝

    前回のコラムで、社員が育たない本当の理由は「やり方」ではなく「在り方」にある、とお伝えしました。

    では、その「在り方」をどう変えるか。

    多くの経営者が最初にやることは… 独りで考え続けることです。

    本を読む。セミナーに参加する。自分の行動を振り返る。それ自体は悪いことではありません。でも、何年経っても「わかっているのに、変われない」という状態が続いているとしたら、それには理由があります。

    人は、自分の思考の外に出ることができない。

    これが、独りで変わろうとすることの限界です。

    どれだけ深く考えても、その思考は自分の「これまでの経験」「これまでの価値観」の範囲を超えることができない。つまり、独りで考え続ける限り、同じ結論、同じパターン、同じ判断を繰り返してしまうのです。


    私にも、メンターがいた

    実は、私自身がその経験をしています。

    事業が危機に陥り、毎日が綱渡りだったあの頃。売上は落ち、資金繰りは厳しくなり、組織はバラバラになりかけていた。毎晩遅くまで「なぜうまくいかないのか」「自分の何が問題なのか」と考え続けていました。

    でも気づいたら、同じ問いをぐるぐると繰り返しているだけでした。答えが出るのではなく、不安だけが深まっていく。翌朝、また同じ場所に戻っている。

    そんな時期に、ある方と出会いました。

    その方は、私に解決策を教えてくれませんでした。ノウハウを授けてくれるわけでもなかった。ただ——私の話を、じっくりと聴いてくれた。そして、私が自分でも気づいていなかった「問い」を、静かに立ててくれたのです。

    その瞬間から、思考が動き始めました。

    問題は組織にあるのではなく、自分の在り方にある。頭ではわかっていたことが、初めて腹の底から腑に落ちた瞬間でした。

    一人で何年考えても辿り着けなかった場所に、独りの存在との対話で辿り着いた。

    これが、私がこの仕事を続けている原点です。私自身が、メンターに救われた人間だからです。


    なぜ、独りでは変われないのか

    人は、自分の思考のループから抜け出せません。

    「思考のループ」とは、自分が「答えられる問い」しか立てられない状態のことです。本当に重要な問いは、自分の外からやってくる。「なぜそう思うのか」「本当にそうなのか」という、少し痛みを伴う問いこそが、思考の壁を壊します。

    また、頭の中でぐるぐるしているうちは、モヤがかかったまま。それを言葉にして外に出した瞬間、「あ、自分はこう思っていたのか」と初めて気づけることがある。人に話す、書き出す——その行為が、思考を整理し、次の行動を生み出します。

    そして何より。

    経営の答えは、外にはありません。あなたの会社、あなたの組織、あなたの文化の中にしか答えはない。だから必要なのは、「正解を教えてくれるコンサルタント」ではなく、「あなたの中にある答えを引き出す伴走者」なのです。


    あなたへの問いかけ

    最後に、一つだけ聞かせてください。

    あなたは今、「自分の思考を外に出せる場所」を持っていますか?

    「変わりたい」という気持ちは、すでにある。でも一人では変われない。それは弱さではありません。それが人間という存在の本質です。

    どんな優れた経営者も、誰かとの対話の中で成長してきた。アリストテレスがいたからアレキサンダー大王がいた。勝海舟がいたから坂本龍馬がいた。スティーブ・ジョブズにも、ジェフ・ベゾスにも、「共通の師」と呼ばれたビル・キャンベルという存在がいた。

    孤独に耐えることが経営者の美徳ではありません。「一緒に考える誰か」を持つことが、最も賢い経営判断の一つです。

    もし今、頭の中がごちゃごちゃしているなら。答えが出ないまま時間だけが過ぎているなら。一度、その思考を外に出してみませんか。


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    著者:河村直人 組織づくり伴走者。5社の社長・1社の会長を歴任し、IPOも経験。自身が事業危機・起業失敗・再生を繰り返す中で、「メンターとの対話が、自分を変えた」という原体験を持つ。現在はエグゼクティブコーチ・企業顧問として、経営者の「一人で抱える」を「一緒に考える」に変える伴走活動を行っている。

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