50代後半からのキャリアで、やってはいけない焦り方

    コラム連動|50代後半からの働き方再設計室・第6回

    50代後半のキャリアで、いちばん危ないのは、
    動かないことではありません。
    焦ったまま、動くことです。

    前回は、転職・再就職・小さく起業・顧問やメンターという四つの選択肢を、同じ物差しで並べてみました。並べてみると、少し見えてくるものがあります。同時に、「早く決めなければ」という気持ちが強くなった方もいるかもしれません。

    今回は、動き出す前に知っておいてほしいことを書きます。

    焦りの正体。
    やってはいけない、五つの焦り方。
    そして、焦りを「整理」に変えるための問い。

    読み終えたとき、「何をすべきか」より先に、
    「自分は、これから誰の役に立ちたいのか」
    という問いが、少しだけはっきりしていたら嬉しいです。

    目次

    53歳の私には、「二人の自分」がいました

    私が上場会社の役員を退任したのは、53歳のときです。

    その一年から一年半ほど前から、ずっと考えていました。
    「このままの自分で、いいのだろうか」

    表向きは、しっかり役割を担っていたと思います。
    ビジョンを伝え、目標に向かって「達成するぞ」と旗を振り、自分も動いていました。

    でも、もう一人の自分がいました。

    自分が考える思いと、現実とのあいだのズレが、少しずつ開いていく。
    役割はきちんと担わなければならない。
    けれど、心がなかなか追いついていかない。

    そんな人間が、いい経営を担えるのだろうか。
    そう、自分に問い続けていました。

    50代後半になったとき、60歳になったとき、本当にこのままでいいのか。
    自分がやりたいこと、成し遂げたいこと、ありたい姿は何なのか。

    正直、ぼんやりしていました。はっきりとは見えていなかった。
    心の中はもやもやして、しっくりこない。
    悶々としていた、というのがいちばん近いと思います。

    結果として、私は「ここにいるべきではない」と決断しました。
    ただ、何をやるのかは、すぐには決まりませんでした。
    一年ほどかけて、ようやく見つけ出していったのです。

    焦りの正体は、「ズレ」です

    いま振り返ると、あのもやもやの正体は「ズレ」でした。

    自分の思いと、いま担っている役割とのズレ。
    これまでの自分と、これからありたい自分とのズレ。

    50代後半の焦りも、多くの場合、ここから生まれます。

    役職定年が見えてきた。
    定年後の収入が気になる。
    周りの同世代が、転職や起業の話をし始める。

    そのたびにズレが意識にのぼり、「早く何かしなければ」と思う。

    ズレに気づくこと自体は、悪いことではありません。
    むしろ、次の役割を探す力が、まだ自分の中に残っている証拠です。

    危ないのは、ズレを早く埋めたくて、目の前の何かに飛びついてしまうことです。

    なぜ、「今」整理しておくのか

    焦りを感じ始めた今は、まだ選べる時間があります。

    役職定年や定年を迎えてからだと、期限が先にやってきます。
    期限が先に来ると、選択肢は「何をしたいか」ではなく、「何が残っているか」で決まりやすくなります。

    だから、急いで決める必要はありません。
    でも、見ないふりをし続ける必要もありません。

    焦りが出てきた今は、急ぐためのタイミングではなく、
    整えるためのタイミングなのだと思います。

    やってはいけない、五つの焦り方

    焦ったときに陥りやすいかたちを、五つに整理してみました。
    どれも、気持ちはよくわかります。だからこそ、口ぐせに気づいたら、一度立ち止まって「問い」に置き換えてみてください。

    1求人に飛びつく

    口ぐせ:「応募できるところがあるだけ、ありがたい」

    生活があります。収入も大切です。ただ、50代後半からの仕事選びは、条件だけで決めると、入ったあとに苦しくなることがあります。

    問い:どんな役割なら、自分の経験が活きるのか
    → 第1回「求人を見る前に整理すべきこと」

    2資格で安心しようとする

    口ぐせ:「何か肩書きがないと、不安だ」

    学ぶことは大切です。ただ、資格そのものが仕事をつくるわけではありません。仕事になるのは、誰かの困りごとに応えられたときです。

    問い:その資格で、誰のどんな困りごとに応えるのか

    3形から起業する

    口ぐせ:「まずは、立派なホームページをつくろう」

    大きな借入、高額な講座、商品より先に整える体裁。急ぐほど、起業そのものが重荷になります。60代からの起業は、大勝負でなくていいのです。

    問い:自分の経験を必要としている「一人目」は誰か
    → 第3回「小さく起業するなら、最初に考えたいこと」

    4過去の肩書きで勝負する

    口ぐせ:「部長までやってきたのだから」

    誇っていい実績です。ただ、人生後半の働き方では、肩書きよりも役割が問われます。肩書きが外れたあとに残る、人柄・経験・信頼・聴く力。そこに価値があります。

    問い:これから、誰の役に立てるのか

    5一人で、ぐるぐる回る

    口ぐせ:「結局、何も決められない」

    求人を見て不安になり、資格を調べて迷い、起業情報を見てまた不安になる。これは意志が弱いからではありません。選択肢が整理されていないだけです。

    問い:四つの選択肢を、同じ物差しで並べてみたか
    → 第5回「まず見るべき4つの選択肢」

    五つに共通しているのは、「ズレ」を、整理する前に埋めようとしていることです。

    私が選んだのは、「支える側」という役割でした

    悶々とした時期を経て、私が見つけたのは、自分が先頭に立つ役割ではありませんでした。

    会社員として働いた時間があり、
    自分で事業を始め、つまずき、立て直した時間がありました。
    それをセカンドキャリアと呼ぶなら、今はサードキャリア。仕切り直しの時期です。

    私の場合、どこかに雇われて何かをする、という選択肢はありませんでした。自分でやるしかなかった。
    ただ、やりたかったのは、自分がリーダーシップを取って何かをすることではありません。

    リーダーや、経営を担う人を支えたい。
    挑戦する人、頑張っている人、次を担ってくれる人を支えたい。
    転ばぬ先の杖のような存在でありたい。

    かっこよく言えば、『スター・ウォーズ』のマスター・ヨーダです。
    ルーク・スカイウォーカーのような人を育てたい。

    私自身も、たくさんの人に育ててもらいました。その恩があります。
    今度は、それを次の人に返していきたい。

    この答えが見えてくるまでに、一年ほどかかりました。

    過去に何者だったか。それも大事です。
    けれど、もっと大事なのは、これから誰の役に立てるのかです。

    人生後半の一歩は、急ぐより、整えるところから始まります。

    まずは、焦りを「整理」に変えてみませんか

    一人で考えていると、同じ場所をぐるぐる回りがちです。
    人は、話しながら自分の本音に気づくことがあります。

    二つの入口をご用意しています

    ① 無料で4つの選択肢診断をする

    約3分・無料。転職・再就職・小さく起業・メンターのうち、いまの自分がどの方向に近いかを整理できます。

    ② 個別相談プログラムを見る

    全4回の「50代後半からの働き方再設計室」。答えを押しつけず、あなたの経験・価値観・これからの暮らし方を、一緒に整理します。

    今日も明るく元気よく。

    河村直人(株式会社シンライフワーク 代表)

    お気軽にご相談ください。

    ※ 無理な提案や営業は一切いたしません。

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